石鹸の作り方、そしてアロマとハーブ
手作り石鹸の作り方の流れ、アロマやハーブの効能に対しての私の思いをまとめました。
(2017.5.16修正)
◆石鹸の作り方
基本的に、手作り石鹸は、アルカリとオイルを手で混ぜ合わせて作ります。アルカリの使い方さえきちんと覚えれば、安全に作ることができます。
まずはアルカリ(水酸化ナトリウム)を水に溶かして水溶液にします。
ぱっと見は透明なただの水ですが、
実際はとても高温になって、触れると火傷します。
しかも強いアルカリなので、冷めてきても触ってはいけません。
このアルカリ水溶液を、人肌まで冷まします。
その後、同じく人肌に温めたオイルと混ぜます。
簡単ですね。
アルカリとオイルを混ぜれば石鹸に変化します。
どんどん混ぜて、石鹸に変化させていきます。
オイルはそもそも、「高級脂肪酸」と「グリセリン」がつながった化合物です。
この「高級脂肪酸」が「アルカリ(塩基)」と出会うと、「石鹸」(高級脂肪酸の塩)になります。
化学変化を起こして石鹸を作っているのです。
ついでに、石鹸に変化する過程で、グリセリンが余ります。
このグリセリンは、保湿によく使われるとてもねっとりした良い成分です。
手作り石鹸にはグリセリンが含まれたままになるので、しっとりした感触になります。
さて、石鹸を作るときにちょっとだけアルカリの分量を減らすと、ほんのりオイルが残って、しっとりした石鹸になります。
逆に、アルカリを多くしてしまうと、アルカリが反応せずに残ってしまいます。これは良くありません。ピリピリと肌に刺激を与える強い石鹸になってしまいます。
そこで、手作りの場合は、ちょっとオイルを残すように作ることが多くなります。だから手作り石鹸は、単に洗浄力を持つだけでなく、しっとりした使い心地になります。
オイルをどれだけ残すかは自分で決めれば良いですし、オイルの特徴によっても使い心地が変わってくるので、肌の状態や好みに合わせて、アレンジを楽しむことができます。
例えば、柔らかい泡をつくるために、オリーブオイルを多めに配合してみたり、
さらりときめ細かい泡にしたければ、アーモンドオイルを加えたりします。
ある程度硬さもほしければ、パームオイルを使います。
このようにして、手作り石鹸は自由自在に、オイルやアルカリの量を調整して作っています。
混ぜるうちに、さらさらしていたオイル&アルカリが、カスタードのようになってきて、もったりしてきたら型に流し込み、数日置きます。そして固まったら型から出して・・・。
アルカリの程度も下がって、ちょうど良くなります。
ここまでは化学の話。
◆アロマとハーブ
石鹸を型に入れる前に、
アロマや、ハーブ、心のケアにつながるものを加えていくことで、
より深い満足感につながる石鹸にしていきます。
植物やクレイで色をつければ、目での楽しみも増えます。
香りは、呼吸とともに私達の内側に広がり、深い落ち着きや、高揚感を与えたり、冷静さを取り戻す助けになったりと、(日本では効能があるとは言ってはいけないにしても)とても意味のあるものだと感じています。
そして、ハーブ。
多くの方は、ハーブを煮出してハーブティーを作り、アルカリ水溶液を作る際の水の代わりにしています。
または、すり鉢ですって細かくしてから石鹸に練りこんで、模様をつけるのも良いですね。または、固まってきた石鹸の上にパラパラとハーブを振りかけて、ハーブを載せたお菓子のように、目で楽しむ石鹸を作ることもあります。
ハーブをいれることで、どんな良い事があるのでしょうか?
例えば、アトピーのある方に「藍」を入れた石鹸が効くという話や、「よもぎ」を入れると肌に良かったという話や、様々な「効能」について耳にすることがあります。
これについては、医学的に、または東洋医学的にどれほど証明されているのか・・・ともかく、自分に深い知識がないままに、伝聞だけの情報をもって「ハーブだから体に良いよ!こんなに効果があるよ!」と謳うことは少しばかり抵抗があります。
何せ、石鹸の泡の中に、ほんの微量だけ含まれたハーブの成分です。
ほんの、微量です。
医師から処方される貼付剤のように、低分子の薬剤が皮膚から吸収されて毛細血管に吸収されていくのとはわけが違う。
泡の中からハーブの成分が肌に付着し、そのまま皮膚を経由して毛細血管に入り込めるでしょうか?
外用薬のような抗菌・殺菌効果、外皮への刺激くらいならありそうな気がしますが(ちょっとわかりませんが・・・)それ以上の効果はどうでしょう。
ここまで調べたこともありませんが、おそらく、あまり期待はしない方がいいと思います。
すり鉢ですったハーブを薬草として直接患部にあてるなど、そういった使い方でしたら良いでしょう。抗菌効果を持つ植物はたくさんあるそうです。
石鹸にいれるハーブは、ちょっとした嬉しいおまけみたいなもの。
私がハーブをいれるときは、はっきりとした効能を考えて入れるのではなくて、
ハーブ(薬草)に親しみ、料理だけでなく、あらゆるものに使い、
ハーブとともに暮らすことで心の安らぎを得ること、
そして、ハーブを育てた人とのつながりを感じることを、大切にしています。
レモングラスはちょっと抗菌作用が残ればいいなあ、アルカリに負けるかなあ、まあ無くてもいいかな、くらいに、香りを楽しみながらキッチンソープによく入れています。
先日はトゥルシーを入れてみたのですが、これがとってもいい香り!というより、独特な、くせになる香りで、なんとも不思議な気分にさせられました。神戸で顔を知っている人が作った無農薬ハーブを使ったこともあり、その分、石鹸に愛着も湧き・・・。多くのお友達にもトゥルシーの香りを気に入っていただけました。
ハーブを使った石鹸、なぜかとても可愛く思えます。
効能があろうがなかろうが、「なんだか可愛いな」「ちょっと雰囲気があるな」と思えること、それはとても価値のあることだと思っています。
最後に蜂蜜を入れるのもお気に入りです。
蜂蜜などの糖分は、保湿にいいですね。
最後の最後に、オイルをまた少し入れて、よりしっとりした石鹸にすることもあります。
また、クレイ(ミネラルたっぷりの泥)を少量石鹸にいれることで、すっきりした洗浄力を持たせることもできます。
ちなみに、オイルとアルカリを混ぜ合わせるときの温度や、保温の仕方、乾燥の仕方によって、多少仕上がりが変化することがあります。何年作り続けても気が抜けず、少しずつ細かい気づきも増えてきました。
石鹸を作っていると、オイルの特徴もよく分かりますし、ハーブやアロマにも詳しくなります。
割と、理論を重んじるタイプの私でも、ともすれば真実からかけ離れて、「ハーブだから体に良い」という単純化されたイメージを持って、いい加減な事を伝えてしまいそうな時があります。
(面倒なのでそうやって言ってしまうときもある)
そこは、「ハーブを使った石鹸で洗うと、何だか嬉しい気持ちになる。心が安らぐ。」といった意味合いに取って下さると嬉しいです。
アロマ(香り)は直接鼻から吸入されて、脳に刺激を与えるので、心身ともに色々な作用がもたらされると思われます。(日本で効能を言っちゃいけないのがもどかしいです)
◆最後に
手作り石鹸は、合成洗剤と違って、自分が知っているもので出来ています。
きちんと洗えて、皮脂は取りすぎず、洗い流した後は早めに分解され、環境への負担が少ない。
手作り石鹸の一番の「効能」は、安心して使えることかもしれません。
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